医療や環境の面で様々な可能性を秘めているマリファナ(大麻)ですが、禁止政策のためにそのメリットが充分に活用されていません。ここではそのあたりのことをお話ししていきます。
産業用大麻
大
麻は日本では少なくとも縄文時代にはすでに繊維として使用されていました。縄文土器に模様を付けるのに使われた縄も麻で作られたものだといわれています。
戦前までは多くの農家で栽培され、大麻の繊維製品や油は日本の文化とは切っても切れない存在でした。織物などでよく見かけるこの模様も麻の葉を表したもの
です。
戦後はアメリカ進駐軍の政策によって栽培が大幅に制限され、そのころから大麻に対する現在の見方が日本社会に定着していきましたが、幸いなことに今でも一部の地域では栽培が続けられています。
大麻は繁殖力が強く、あらゆる気候で育ち、肥料や用水をあまり必要とせず、害虫にも強い、とても環境に優しい植物です。一方、綿花(コットン)は大量の肥料と殺虫剤を必要とします。大麻とコットンを比較すると次のようになります:
T-シャツを麻で100枚作った場合のコットンとの比較
節約できる
エネルギー: 190,000kJ
土地面積: 80平方メートル
用水: 281,600リットル
不要になる
化学肥料: 7.7kg
農薬: 50g
資料:US Environmental Protection Agency, United Nations Food and Agriculture Organiztion, World Wildlife Fund, World Health Organization, Pesticide Action Network North America
この他にも、大麻は最近話題のバイオ燃料としても有効活用できるので、CO2の排出削減にも大きく貢献することができます。
1930年代にアメリカで大麻が禁止された背景には、当時合成繊維の市場拡大にとって大麻を脅威と感じていたデュポン社の影響力が大なり小なりあったといわれていますが、そもそも禁止されるようになった理由は何にせよ、人や環境に優しい社会を築こうとするなら、戦後の大麻に対する固定観念をもう一度見直し、資源としても有効活用する方法を考える必要があります。
医療大麻
人
類は、大麻を何千年もの昔から薬として使用してきました。現在欧米では、緑内障の患者さんが眼圧を下げるために、抗ガン剤治療を受けている人やエイズ消耗
症候群を患う多くの患者さんが食欲増進や症状の緩和のために使用しています。また、カナダやアメリカの一部の州では医師の処方があればマリファナを免許制
で入手することができ(アメリカでは州と連邦政府との間で対立が続いていますが)、このような患者さんのために専用に有機農法で栽培する業者さんも登場し
ています。オランダでは政府がマリファナを専門に扱う薬局の設置を計画しています。
大麻の薬品としての効能を裏付ける調査研究も数多く発表されていますし、大麻に含まれる成分がガン細胞の成長を抑える働きがあることを示す調査も数多く発表されています(1 , 2 )。また最近ではアルツハイマー病の治療において、マリファナの向精神成分であるTHCが、治療薬として現在使用されている医薬品よりも大幅に効能が高いことを示す研究 も発表されています。
現在欧米諸国では、政治家も医療大麻の問題を無視できない状況に徐々になってきています。アメリカの連邦(国)レベルでは大麻には医薬品としての効能はまったくない としていますが、このような主張はもはやマスメディアですら鵜呑みにすることはないようです。2006年6月の段階で、州法で独自に医療大麻の使用を認めているアメリカの州は11を数え、今後も増え続けるものと考えられます。
日本では依然として「大麻=麻薬=悪」というような間違った固定観念で論じられるばかりで、大麻に関する本格的な研究すらされていないなか、1999年には患者さんとその家族、医療関係者、法律家、ジャーナリスト、市民のネットワークにより「医療大麻を考える会」が発足しています。




